専門分野

僕の大学の所属は「情報科学研究科」。だけど,情報科学という言葉がいまいちしっくりこない。自分がやっていることorやりたいことは情報科学(information science)という言葉で表される枠組みなのだろうか。

第一に僕はもともとエンジニアコミュニティで育った人間で,科学(science)よりも工学(engineering)の方が似合っている。モノを動かさないとつまらない,そういう人間。ならば,情報科学よりも情報工学(information engineering)か。情報を工学する。何か違う。

正直,「情報」の科学や工学というのは意味がよく分からない(情報という言葉が漠然としすぎている)し,そもそも「情報工学」という言葉からコンピュータというものが全く連想されない。確かにコンピュータは情報を扱う上で便利だけれど,情報が焦点である限りどうでもいい話だ。それはそれでありだと思うけれど,実際の情報科学情報工学は情報そのものではなくコンピュータを扱うことが主体となっているし,僕も「情報をやりたい」というよりも「コンピュータを応用したい」という気持ちの方が高い。

それではコンピュータの名を冠する計算機工学/コンピュータ工学(computer engineering)か。英語名称ではこのcomputer science/engineeringが一般的に使われているような気がする。でも,コンピュータ自体をどうこうしたいという興味はそれほどない。コンピュータ自体を作るよりもコンピュータを使って何かを作りたいわけだ(そういう意味では情報科学/情報工学という漠然とした言葉は便利かもしれない)。

ならばコンピュータのやっていることは,と考えてみると,情報の操作なわけで,一言で表せばcomputationか(いい日本語は思い浮かばない)。工学を付けるとComputational Engineering。前の二者よりかはしっくりくる。Webを検索してみると意外とこの用語はメジャーなようで,同じことを考えている人は多いのかな。

ただ,今メインでやっているのはcomputational engineeringなのだけれど,前から社会システムという複雑系の分析については色々考えているし,最近俄然興味が湧いてきた脳機能という領域は生物,生理,情報などの複数の分野に渡っている。科学・技術・芸術の領域を越えた「知の統合」が唱えられている今(参考:次世代文化フォーラム永井俊哉)はあまり専門分野というのも意味がないのかもね。